島唄同好会、手伝い役の長嶺紀晃です。
去る1月13日に今年第1回目の島唄同好会を開催し、其処で今話題になっている「やーさん、ひーさん、しからーさん」の上映を行いました。
其の事も含め、私達の島唄についての個人的感想を少し述べさせて頂きます。
此の映画は沖縄戦直前に集団疎開させられた学童及び引率教師、百余名の証言の映像で、飢え、寒さ、寂しさと闘った疎開学童らの戦中戦後に思いをはせ、戦争の知られざる一面を伝える大切さを次世代に託した作品です。
昨年は映画「ひめゆり」(生存者二十数名の証言を十数年掛けて収録した映像)の上映、教科書問題、等もあり、戦中から今日に至る郷里沖縄の立場、特に被害者的側面をいろいろ考えさせられました。
それに先立つ大正から昭和初期ですが、ソテツ地獄、女工哀史、移民、等など、もっと貧しい時代で、且つ差別ももっと大きかった事を、明治生まれの両親から沢山聞かされました。
更に遡れば17世紀初頭から明治に至る薩摩による制圧、搾取は歴史の教科書が教えてくれます。
戦後六十余年経った今日の沖縄はどうでしょうか? 失業率:No1、一人当たり所得及び貯蓄:最下位、等など、暗い統計データが並ぶ私達の郷里です。
こ の様に虐げられた歴史を背負い、今日もなお貧しい我が郷里ですが、何故か其処には人を癒し、慰め、勇気付ける島唄が沢山生まれ、唄われています。此れまで に皆で歌った、弥勒節、西武門節、てぃんさぐぬ花、安里やユンタ、汗水節、芭蕉布、童神、・・・等など、琉球、明治、大正、昭和そして平成と、連綿と生ま れ歌い継がれています。
メディアが発達した今日では毎日の如く新しい唄が生まれて、歌われでいるようですが、その様な島が世界の何処かにあるでしょうか?
全国で最も貧しい県であるにも係わらず、県外の多くの人を惹きつけ、果ては移住さえさせる魅力は何でしょう?
答えは、「一人当たり所得及貯蓄:最下位」と「結い」にあり!と、ひそかに思っています。
経済的に最下位でも皆の所得格差は小さく、皆が貧乏なので互いが助け合い、寄り合って、心温かく暮らしている社会、と言えます。
大東京は沖縄の全く裏返しです。大金持ちが沢山居てホームレスも沢山居ます。金持ちはもっと金が欲しく、ワーキングプアやジョブレスは社会不安の原因となっています。
その様な格差社会、ストレス社会の人達が癒しを求め沖縄に惹かれているのが今日の日本社会の一側面ではないでしょうか。沖縄発の唄、芸能人が此れ程受け入れられている今日の社会現象は其の表れと言えます。
島唄愛好家の皆さん、「貧乏でも穏やかな我が沖縄」を大いに誇り、楽しく島唄を広めて行きましょう。